Q&Aサイトでよく質問され、決まって「バカじゃねぇの? 変わるわけねぇじゃん。デジタルだよ? 0と1の信号なんだよ?」といわれてバカ呼ばわりされている、またはオカルト扱いされているUSBケーブルによる音質変化。中には
HDDにUSBケーブルで送った動画ファイルと、元のファイルをベリファイしてみれば分かります
数GBの動画ファイルでも、1バイトの違いもないです
違いがないのに画質が変わる・・・わけはないです
音質も同じです
一部のオーディオマニアは、自分の聴力(脳味噌も含む)のいい加減さを棚に上げて、何かを変えると音質が変わると言い張ります
こんな回答をしている人すらいます。申し訳ないがハッキリ言えば知識のレベルというかスキルが低い、勉強不足。
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実はオカルトではない、理論的に成り立つ話
最初に書いとかなくちゃイケないが、元の音質をより正確に再生させる(信号をより正確に伝える)、が「音質が変わる」の正体だ。音楽に携わっている人や音楽好きの人には常識だが、電源の品質で音は変わる。その辺すらオカルトだと言い張っている人は、デジタルの仕組みを実は知らないのだ。正確に安定した高品質の電源があってこそ機器は設計通りに機能する。極端な例で誰にもわかり、経験があるだろう例を挙げると、電圧が低くなるとちゃんと機能しない、もしくは電源が入らない。ノイズが発生する機器を家の別なコンセントで使っていると、ラジカセからノイズが再生される(例えば家で丸ノコを使ったら、ギュィィィンというノイズが使うたびに発生する)など、何かしらの経験があるかと思う。使っている部品の差や半田付けの技術の差で製品そのものの品質に違いがあるのはわかっていながら「電源ごときで音が変わるわけない」とは、もはや理屈的におかしい事に気がついていない。
さて、先述の解答例だが、そもそもが間違えている。データコピー元とコピー先のデータに違いがあるわけがない。これは正しい。音楽データをデータとしてコピーするのはコピー元とコピー先で違いは無い。なのでどちらも当然同じ音質。
が、これ、質問の答えにはなっていない。質問はUSBケーブルなどを使って音楽再生・録音そのものを行う場合の話で、データコピーの話ではないので、実はまるで回答になってはいない。オカルトだと言っている人は「何も勉強も理解もしてはいない、知ったかぶり」とキッパリ言わせていただく。大事なのでもう一度書いとくが
データコピーは変わらない、再生・録音は変わる
「アナログはノイズなどの影響を受けやすいので劣化は避けられないがデジタルは0と1の転送なのでノイズの影響を受けない」よく言われる事だがこれが間違い。0と1のデジタルデータもノイズなどの影響は当然受けるし、欠損は起こる。アナログと違い影響を受けにくいのは転送する仕組みでエラー訂正が行われるからだ。0と1だから影響を受けないのではない。デジタル転送を簡単な例えで説明すると、一人が懐中電灯を持ち、一人がそれを見て、懐中電灯側がカチカチと点滅させモールス信号を送ったとしよう。途中受け手が瞬きをしてしまって見逃してしまったり、間になにか障害物が入ってしまって見えなかったりということは当然起こるし、霧が発生して見えにくいことも当然ある。そこで一回の送信を例えば16の信号と決めて置いてその都度「どう?」と聞く。16全て見えていたら、「OK」と返すと、次の信号が来る。「NO」なら16戻って信号を送り直す。これがデジタルが影響を受けにくい仕組みの訳だ。
データファイルのコピー(バルク転送という)やプリンタへのプリント命令などのプロトコルではエラー訂正がされる。なのでよほどひどいケーブルでない限りは違いは無い。ただし、その品質、つまりエラー訂正が頻繁におこるような場合は当然訂正を繰り返す分だけ速度は遅くなる。
一方、音楽の再生・録音の場合のデータの信号はリアルタイムで行う必要がある。のでアイソクロナス転送という転送方式を使っている。これはエラー訂正が無いのだ。
アイソクロナス転送では、一定時間あたりの最低データ転送量が保証されており、全体の転送量が高くてもデータ伝送が確保できるという特徴を持っている。データの途切れがない保証があるので、マルチメディアコンテンツのストリーミング再生などに適しているといえる。ただし転送に失敗しても再送を行う仕組みは持っていない。
つまり、速度や帯域優先だが、ケーブルそのものの品質、ノイズなどの外的要因でデータの欠損は起こるのだ。そして、欠損したまま再生される。音楽だとわかりにくいが映像だとわかりやすかと思う。ノイズが入ったり、動画がちょっと止まったりするアレだ。
そして先述した様に安定した高品質の電源供給はUSBバスパワー機器の場合は特にUSBケーブルの出来にかかっている。
もうここまで書けばお分かりだろう。
大きくはこれら2つの要素で「USBケーブルで音質は変わる」のだ。むしろ「品質の悪いUSBケーブルでは音質を損なう」と言った方がいいのかも。
ただしこれ以上、つまり音を元データより良くすることは出来ないし、音質を変えてチューニングするといったアナログ的なアプローチは出来ない。数万円もするUSBケーブルが世の中にはあるが、あれには私は懐疑的だし、意味が分からないし、理屈が通らない。これはオカルトと言われても仕方がないと言わざるを得ない、と私も思う。
オーディオ用USBケーブルとは、エラーを極力少なくなるようにし、転送帯域を十分に使え、高品質な電源供給ができる様にしたケーブル、という訳だ。「バルク転送用のUSBケーブル」と「アイソクロナス転送用のUSBケーブル」という言葉が一般に広まれば「オカルト」などという間違いが広まることはなかったろうと思うが、そうはなってないのでそれを書いても仕方がないが、つまりはそういう事なのだ。
音楽用のUSBケーブルは極力短くし、高品質なものを使うべし。さらにUSB Hub経由は避けるべし。というのはこういう訳なのだ。
ただし! その変化はどれほどのものかという事になると、環境や状況による、と言わざるを得ません。場合によってはほとんど変化が見られない場合も当然あるだろうし、たとえ変化があってもそれを再生する機器が鳴り分けられるレベルのものではなければ違いはわからないだろうと思います。そして低い音量で軽〜く聴いているレベルなら、「気にするまででも無い」とも言えるかと思います。
言い換えれば一定の品質の部屋・電源・再生・録音機器の場合に違いがでる「可能性がある」という事です。そしてその違いが重要な方でなくては意味がないとも言えます。
まとめとしては
音質の変化はあるが、どのくらい変わるかどうかは状況と人による。ただし多くの人・場合では、よほど酷いケーブルでない限りは大きな差は出ない場合も多い。
ってぐらいか。間違いなく言えるのは「オカルト」ではないって事です。うん。高品質なUSB1.0/2.0ケーブルのおすすめを一つあげるとBelkin製。オーディオメーカーが出している類のものは試すならとりあえず一番下のランクのもので自分の環境で試して様子見をオススメ、かな。
そして、これはUSB1.0/2.0までの話。そもそもの帯域がもっとあるUSB3.0やUSB3.1では状況はかわる可能性は高いかと思われます(未検証)。
2022.7.22追記
まだ、USB3.1 Gen2やUSB-Cなどが一般的でなかった、音楽関係の機器がUSB2.0が主流だったころの5年も前の記事に、いまだにコメントをいただくことがございます。ありがとうございます。が、もうすでに世の中はUSB3.1 Gen2やUSB4に移りつつあり、この問題自体が過去のものとなりつつあります。
しかし技術的に有用なコメントなら、たとえ私の記事への反論だとしてももちろん喜んで載せますし、私自身間違いを正せるので大歓迎なのですが、多くがただの「ばーかばーか!」的なものと、一見すると有用な様にも思えるが、よく読めば理屈が破綻している/一方からだけの視点の理屈の理論だと思われるのコメントもございます。研究・開発がそうであるように、実験・体験・積み重ねが伴わない1視点の机上の理論は、1意見としては尊重しますが。。。正直いまとなってはどうでもいい。
ということで今更なこれらのコメントは見るのもゲンナリしますし、疲れますので、この記事へのコメントをOFFにしました。ご了承下さい。
ヘッドホン・ケーブル当然でしょうが、やはりUSBケーブルもなんですね~
とても分かりやすい説明で、納得です。(^^)b
スピーカーまだほったらかしでーす・・・(^_^;)
えーと、motoマジマンさんかな?w
スピーカー、仕上げを焦るとガッカリですもんね。腰を落ち着けて、じっくり楽しまれる方がいいかと思います(^^
そぉなんですよ、USBケーブルでも変わる「場合」があります。うちはいまある程度は使っているんですけど、もうちょっと良いの見つけたので、届いたらレビュー予定です(^^
ありゃりゃ(^_^;)
失礼しました。
ハイ私でした~