遠近両用眼鏡プチ レビュー
私も寄る年波には勝てず近年老眼鏡を使い始めていたのだが、通常使用眼鏡(近視では無いのだが、左が近視、右が遠視というように違うので肩こりが酷くめまいもするので補正するために眼鏡をかけている)とのかけ替えがさすがに煩わしくなってきた。ので意を決して遠近両用眼鏡を行きつけの眼鏡屋さんで作ってもらう事にした。
遠近両用レンズは結構価格が高い事もあって、安いレンズでも今時はまぁさして違いは無いだろうとたかをくくって、ITOレンズというメーカー(セット眼鏡によく使われる安価な国産メーカ−、遠近両用のセット眼鏡によく使われるそうだ)の、天地が30mm以下の今時の小さいフレーム用の遠近両用レンズに決め、約一週間後「出来ました」という連絡をもらったので、早速眼鏡屋さんに向かった。初めて遠近両用眼鏡をかけるという事もあり、違和感を感じたが「なれるまでしばらくかかります。人にもよりますが1週間〜1ヶ月ぐらいかかる場合も」との事。頂いた小冊子にも最初はデスクワークでならし、日常生活でならし、それから車の運転という風に段々と使用範囲を広げていって欲しいと書いてある。でも、これが想像を絶するほどに辛いのだった。。。というかほとんど見えない。。。こんなにも見えず、そしてぐらぐらと世界は揺れ、歪み、頭痛と吐き気と戦った先にしか遠近両用眼鏡を装着する資格を得られないのか!? そんな馬鹿な。。。そんな事を四六時中考えながらかけ始めて3日ぐらいした時、ふとある事に気がつく。
「上のフレームギリギリ5mmぐらいの範囲でならちゃんと見える」
実際、この遠近両用眼鏡をかけて見えている普段のイメージはこうだ。
このつらさが想像できるだろうか。ほとんどの部分が見えていない。なので視点をちょっとでも、ホントにちょっとでも横にずらすととたんにこうなる。
こりゃぁ、さすがにおかしくないかい?と先の眼鏡屋さんと相談。最初私の言っていることがどうも伝わっていないのか、信じてもらえないのか「遠近両用はそういうものです、なれてもらうしかありません」と、ITOレンズの仕様書(図入り)とNIKONの仕様書(図入り)で見える範囲と見えない範囲の図を比較し「この様にだいたい似た様なものですので」との事だったが、じっくりとキチンと説明し見えない事を諦めずに訴えた所、個体差というよりはメーカーによる設計の違いが大きいのかもしれないとの事でNIKON VARILUX ELLIPSE DSに作り替えてもらうことになった。
で、更に待つこと1週間NIKON VARILUX ELLIPSE DSで出来上がったという電話をもらったのでさっそく眼鏡屋さんに行ってみた。結果は・・・。
全然違うじゃん! 先に見せられた仕様書の通りにちゃんと見えているじゃん! 先の写真の例でいうと見え方はこんな感じ。
違いは一目瞭然。写真をよく見てもらうと分かると思うが、下半分の左右はボケている。が見えなくなる範囲のボケ始めも自然で、ボケ幅も小く押さえられているので、それまでかけていた通常用の眼鏡とかけかえても違和感が非常に少ない。もちろん遠近両用なので上下のゆれは多少あるが、酔ってしまうほどでも無い。左右に顔を振っても首を傾けてもブレ・歪みはITOのそれとは比べものにならないぐらい小さい。図にまとめてみた。
図1-1がNIKON VARILUS ELLIPSEの見える範囲を示す図で、ITOレンズのもだいたい似た様な図にはなっている。が、実際には上の写真の様にまったく違う。BがアイポイントでCが累進部、Dが近用Aが遠用、E・Fがちゃんと見えない部分なのだが、どちらも同じ図なのにここまで見え方が違うというのは(これはあくまで想像でしかないが)ITOレンズの場合、図1-1のE・FとAの境目からボケのグラデーションがはじまる、つまりNIKONの図でいうところのぼけている部分に相当する部分が実はもっとある、という事ではないだろうか? そうで無いなら、Aの範囲が極端に狭い不良品だったか、現物がどういう訳かアイポイントがズレてメーカーから納品され眼鏡屋さんでそのまま削られてしまったとかもっと酷い話になる。(いやどっちにしても酷い話なのだが)。一方NIKONの方ははっきりと見える部分をAとし、ボケ始める部分をE・Fとしているのではないか、と。いやあくまでも想像だが、実際にかけて見比べてみるとそうとしか思えない。Aの部分の広さの他に、E・Fの部分の見え方が両者で全く違い、ITOレンズは写真の用にボケボケなのに対し、NIKON VARILUX ELLIPSE DSはうっすらとぼけている感じ。ちゃんと図1-1の通りの見え方になる。ちなみに図1-2だが、このNIKON VARILUX ELLIPSE DSは最低天地幅22mm(Dが1/3欠ける)、推奨最低天地幅24mm(Dが1/5欠ける)、との事で今回ITOレンズであまりにも見えなかったのでA部分を最優先とし、天地24mmの時と同等にフレームの下を決めそこから今回私が選んだ27mmのフレームに合わせてもらうことにした。つまりその差3mm程上部にAが広くなれば、という期待が有ってのことだったが、想像以上にこれは快適だった。大正解。
実生活においてはITOレンズの場合には、たとえば2画面でパソコンを使っている場合はどちらの画面も真正面から見ないと見えない、たとえば車の運転中にはサイドミラーを見る場合にはサイドミラーを真正面で見ないと見えない(が、そこまで顔を振ると相当ブレ・歪みがでて吐き気がする)。それがNIKON VARILUX ELLIPSE DSだといずれの場合でも普通に過ごせる。
これでITOとNIKONの価格差はレンズ1枚あたり7000円程度なので2枚で約15000円。
遠近両用眼鏡を作ろうと思った時点では、この価格差は大きいと思ったのだが、いくら15000円安いといっても見えない・使えないのなら全く話は違う。車の運転をする場合にはもちろん安全にも関わってくることなので、これから遠近両用眼鏡を作ろうと思う方はそのあたりを充分に考慮する必要があると思います。ちなみに、行きつけの眼鏡屋さんはキチンと理解してくれ、今回、先のレンズの価格差だけで作り直して下さいました。こういうちゃんとしたお店を探し(通販なんて言語道断、通販やっているお店も同様)、作ってもらうというのも今回改めて大事だと感じました。
これから、遠近両用眼鏡を作ろうと思っている方、セット眼鏡の遠近両用を買って全く使えないとただの老眼鏡にしちゃっている方のなにかの参考になれば、幸いです。
ちなみに、今回こちらのサイト(眼鏡屋さんの店長さんのブログだそうです)次論公論の「僕の遠近両用眼鏡奮闘記」が非常に参考になりました。
2 thoughts on “遠近両用眼鏡をなめちゃぁいかん の巻”